物質量の単位 mol の細かい話

物質量の単位 mol は、普遍単位系の中で例外的な性格を持つ単位です。
それは命名の都合ではなく、定義に用いる定数が他の単位と異なるため
必然的に生じています。

 2026-01-10 音楽記号が自然にはまった日―普遍単位系の命名経緯

| 修飾語 natural も、その記号は当然のごとく“♮”がはまりました。

その適用例が、

 2026-01-08 8つの4つ組―普遍単位系を支える8つのカルテット

の、アボガドロ定数そのもののみで定義されるコヒレントな単位(2)、
| mol(=NA-1)
です。一方で、対になるコヒレントでない単位(5)として、
| ±mol
も位置付けています(後者は前者の 1224(=100;10;)倍)。

このため、revised.pdf Table 4 にも注意書きしましたように、
| In this context ‘♮’ is equivalent to ‘3-’ and ♮mol is called ‘natural mol.’
という特別な扱いが生じます[1]
SI単位系で、質量の基本単位 kg に接頭語 kilo が付くのと似た扱いです。

さらに、同じく Table 4 には、
| ±mol is called ‘universal mol’
という注意書きもしています。単位の定義がアボガドロ定数のみでなされ、
長さの単位の定義にリュードベリ定数を使おうがボーア半径を使おうが、
物質量の単位の大きさに影響ないからです。

±C も似た状況です。電荷の単位は、真空の固有インピーダンス Ω と ℏ [2]
ないし、無次元の定数である微細構造定数 α と素電荷 e とで定義され、
長さの単位の定義には影響を受けません。よって、同じく、
| is called ‘universal Coulomb’
としています。
doc/README.md電磁気力の図に universal Coulombとあるのもこのため。

ただ、この2例とも ‘harmonic’ を使うことを禁止する意図はないので、
revised.pdf の次の改訂では、

 is → may be

と、表現を緩めるつもりでいます。

なお、「細かい話」と書くからには「細かくない」話もあるわけですが、
「細かくない」話の方については、追って別記事を書く予定です。

[1] Ω では、‘’は‘±’と同義です。
[2] relations.pdf で e に流入する矢印は ℏ と Ω からのみ。univunit-j.pdf §3.5 も参照。

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