『異教のローマ』

標題の本[1]について、主に付箋を付けたところをメモ。

p.61 秋分 「アケメネス朝の祭り」節
>ミトラカーナは、古代においてはミスラの月のミスラの日と
>された秋分の日に行われ、春分の日に催された新年の祭り
>(ノールーズ)と並んで、盛大に行われていた。
>現在のゾロアスター教徒の間でも、ミトラカーナの習慣は残って
>いるが、暦のずれから二月の初旬に行われるようになっている。

p.108 冬至 「アウレリアヌス帝の「不敗の太陽神」信仰」節
>四世紀に作成された『フィロカルの暦』は、一二月二五日を
>「不敗の(太陽)神の誕生日(Natalis Invicti)」としている。
>一二月二五日は冬至にあたり

ただし、これら↑は「ミトラス教」そのものの話題ではない。

「ミトラス教」そのものについては、七惑星を信仰の位階と
関連付けたり、黄道十二宮のおうし座を、シンボルである
“ミトラス神に殺される牡牛”に関連付けたりしている点、
メモしておきたい。

「ミトラス教」は、紀元一世紀後半に、特定の教祖によって
創始[2]された、兵士や(開放)奴隷など(教祖本人を含む階層の)
孤独に苦しむ人々を信者として想定した魂救済[3]宗教で、
組織構造は、

p.229
>組織の核になる思想はもちろん大きく異なったが、フリー
>メイソンとミトラス教は、おどろくほどよく似ている
由。

ローマ帝国の西部に普及し、キリスト教とはあまり重ならない。

もうふたつ、
p.8 「ローマ市に流れ込む多彩な宗教」節
>言うまでもなく、イエスはキリスト教の創始者であり
これは、興味深い論点です。“創始者”の定義にも依りますが、
「イエスがキリストとして復活した」という信仰を持ったはず
がないイエスはキリスト教徒では*ない*ので、当該宗教を信仰
してなかった人物を“創始者”と呼べるか否かは議論があるかと
思います。少なくとも“「言うまでもなく」自明”ではない。
https://chatgpt.com/share/683f83a2-3754-800c-a0d8-a46ae90ae26a

p.206 「太陽神一神教へ」節
>ていった神々は、すべて太陽神が姿を変えて現れたもの

>ミトラス神が太陽神であることは当然すぎて、あえて言及
>されなかった
四世紀初頭の現象を説明する根拠として五世紀の*文学作品*を
挙げるだけでは弱いように思います。著者自身は、別の根拠を
把握していて、何らかの理由でそちらを選ばなかったのかも
しれません。

[1] 『異教のローマ ミトラス教とその時代
[2] 小アジアではない。
[3] 現世利益と魂救済を画然と分けられるか否かは判りませんが…

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