「再検討」2.3節のロジックのフロー整理

 2024-08-06 「『日本暦日原典』による明治改暦に関する通説の再検討

の[研究ノート]を Adobe Acrobat で開くと、AIによる“生成要約”と
いうのができるようになっていました。早速やってみると、2.3節の

| 「深層構造」と「表層構造」

の部分が端折られ過ぎと感じます。第1の“不備”に比較して、第2の
“不備”に関する要約が圧倒的に少ない。これは Adobe Acrobat のせい
ではなく、[研究ノート]の分量に圧縮するため、もともとの記述の多く
の部分を、先行する論考で発表しておき、「再検討」では、それらを
リファーする形式にしたことが大きい。

一見(いちげん)の「再検討」読者も Adobe Acrobat と同じように読みそう。

そこで、

| (5) calendar_papers/「『日本暦日原典』による明治改暦に関する通説の再検討」への補足.pdf [1]

の4.1節に文章で書いたことを、ロジックのフロー[2]の形式で、可視化
しておくのが良いかと考え、本記事にしておきます。

 「改暦の詔書」起草者は、案文「子年辰年申年」を知りつつ案文
 「四歳每ニ一日」という表現を選択
したことがわかった。
 (両表現はともに当事者の案文)
       ↓
 “「第2の“不備”の理由は?」という手掛かりの少ない疑問”を、
 “「子年辰年申年」と「四歳每ニ一日」の違いはなにか”という
 “疑問文に言い換え”られる。
       ↓
 「子年辰年申年」と「四歳每ニ一日」という文言は極限的に簡潔[3]なので、
 違いは、後者では翌々年の平閏が明らかでないことくらいしかない。
       ↓
 そのような特徴を持つ文書は他にもある。毎年発行される頒暦だ。
 (主観的な気づき)
       ↓
 11月3日の回覧資料である①の、ⅱ)は頒暦の改訂版のサンプルであり、
 「四歳每ニ一日」とあるⅰ)はその改訂理由を説明する前文として読める。
 (つまり客観的にも[4]「改暦の詔書」起草者はⅰ)とⅱ)を関連付けていた)
       ↓
 そこで毎年発行される頒暦に関わる制度を確認する必要が生じるが、
 当該制度[5]の説明は岡田『明治改暦』ですでになされていて、翌々年の
 平閏が明らかでないという、この特徴は当然であるとわかる。
       ↓
 貞享暦にはじまる制度は、既に外国の研究者が教科書レベルで言語化
 している“東アジアの暦の政治制度”[6]の日本における実装例である。

冒頭論考の新規性を損なわないように気を付けつつ、最後の2つを
先行論文で記述しておく…というのが難題でした。なお、

 「子年辰年申年」と「四歳每ニ一日」という文言は極限的に簡潔なので、
 違いは、後者では翌々年の平閏が明らかでないことくらいしかない。
       ↓
 “十二支”で完結するので、“西暦”や“置閏の例外”は無関係

という分岐(「再検討」注54後半)もありました。

うまく可視化できているかな?

[1] なぜか、これを Adobe Acrobat で“生成要約”しようとすると、
 「概要を作成中…」のまま終わらない。
[2] 実際の研究での時系列のフローではなく、ロジックのフロー。
[3] これが“「正月」と「1月」”の件を“懸案”に留めたのに対して
  本件を“解決”とした判断の差になっている。[2025-05-25 追記]
[4] ⅰ)とⅱ)をまとめて ① としたのは私の誘導ではない。
[5] 2024-09-08 クラスとインスタンス の インスタンス
[6] 2024-09-08 クラスとインスタンス の クラス

[関連記事] https://suchowan.seesaa.net/search?keyword=明治改暦
[前回記事] 2025-04-01 「懸案」の列挙

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