「時輪暦」とモンゴル

モンゴルの太陰太陽暦は『世界の暦文化事典』p.164で紹介されているように
モンゴルがチベットから受け入れた[1]「時輪暦」の一種です。

http://hosi.org ( https://github.com/suchowan/when_exe ) で実装している
「時輪暦」は、残念ながらチベットの暦定数を用いており、モンゴルの暦とは、
若干の相違が生じるようです。

 2023年体系派時輪暦年初 http://hosi.org/*/2023-02-21 モンゴルと一致
 2025年体系派時輪暦年初 http://hosi.org/*/2025-02-28 モンゴルは翌3月1日の由 [1]

ただ、2025年についてみると2行上の「インド太陰太陽暦」の日付が「%」付きの

 11<15% (マーガ(11)黒分(<)15日であり、翌パールグナ白分1日が“欠日”(%)になる)

なので(→文字列順ソートで日付順ソートできるよう工夫 Wiki/1.前提となる概念/1.日付時刻の表現)、
日の出前後の月の位相の際どいズレが1日の違いとして現れたものと思います。

ちなみに『世界の暦文化事典』p.167 で言及された 2006年8月を計算してみると、

 http://hosi.org/*/2006-08-%5E%5ETibetan

となって、16日が“欠日”になりますがモンゴルでも同じだったのでしょうか?

朝倉書店『暦の大事典』最終頁に私製の「暦定数表」を記載していただきましたが、
「時輪暦」(表では「チベット暦」と表記)では、一年の長さとして回帰年は用いず、
恒星年(約365.26~27)を用います。これは、満月の頃に月が宿る星宿で月の名称を
表現するためです。

結果、暦元から積もった歳差によって、「時輪暦」の年初は回帰年に同期した暦の
年初より次第に遅れていきます。これが、ともに太陰太陽暦というカテゴリに属する
にもかかわらず、中国とモンゴルで年初が相違する原因ではないかと思います。

[1] 2023-05-13 『物語 チベットの歴史
  | チベット仏教がディベートに勝利
 がなかったら違った歴史になっていたでしょう。

[2] 3月28日初回放送の番組↓でモンゴルの旧正月が話題になった由。
 >モンゴル - 買い物カゴから世界が見える - NHK
 https://www.nhk.jp/p/ts/1YXQLXYNQ7/episode/te/14NLXPYG14/ のちょうど19分目

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