『東京大学の学術遺産 捃拾帖』

標題の本は幕末から大正にかけて田中芳男が収集した
諸々の資料を貼りつけた言わばスクラップ・ブック。

記録によれば 2014-07-25 購入の初版第1刷ですが、
積読になっていました。ただ、紙の本では見開きを
完全に開くのが躊躇されるので、電子書籍で読む方
がお薦めかもしれません。

安政五年の一枚暦のある引札(pp.20-21)や明治五年の
汽車の時刻・運賃表(pp.112-113)、明治36年[1]の赤・
青・黒三色ひめくり(pp.250-251)などがあり興味深い。

安政五年の仮名暦[2]では昼夜の長さが、日出・日入と
六つから六つとの両方の基準で載っているのですが、
引札には後者のみが記されています。当時は後者の
方がより必要とされたのでしょう。

また、汽車の運賃表が新旧のお金の単位で書かれて
いるのも時代を表しています。

ひめくりは前年の明治35年に初登場の由。ごく初期
から既に三色のものがあったわけですが、それぞれ
の一日は一色であり色ズレ対策の技術を要しない。

#p.75の明治3年頃のお菓子の引札では大坂・大阪混在

[1] 写真は年を欠いていますが6月14日が日曜である
  ことから1903年とわかります。
  http://hosi.org/*/明治36-06
[2] http://hosi.org/Note/1858v

[関連記事] https://suchowan.seesaa.net/search?keyword=大坂・大阪

この記事へのコメント

のねむ
2023年12月25日 13:13
捃拾帖… 初めて知りました。で、東京大学の電子展示『捃拾帖』を見ていたのですが「明治十六癸未年吉凶方位表」に目がとまりました。
この吉凶方位表には「略本暦附録」と書かれています。略本暦自体ではなく、その附録であれば六曜や三隣亡などの迷信もOKだった… のですかね。
suchowan
2023年12月26日 05:17
コメントありがとうございます。

2023-12-08 「暦の神々と民俗」( https://suchowan.seesaa.net/article/202312article_8.html )の質疑応答とも関連しますね。また、明治十六年というと1882年に頒暦業務が伊勢神宮に移管された直後ですが、その前後の差も気になるところです。