研究不正(続き)

2017-04-26 研究不正で、

| ・自らの仮説と整合する偏ったデータを集める

というのを挙げましたが、それに関連して面白い論文が紹介されていました。

>論文メモ:Empirical assessment of published effect sizes and power
>in the recent cognitive neuroscience and psychology literature
>(Szucs & Ioannidis, PLoS Biol, 2017)
http://tjo.hatenablog.com/entry/2017/05/06/090000

一定の人数の被験者を使った実験をして、それなりに統計的に有意な結果が
得られている場合に、さらに一桁多い予算と時間を使って、より精度の高い
結論を目指すべきか?

・被験者を増やすと統計的有意性が消えてしまうかもしれない
・時間をかけて実験をしている間にライバルが発表してしまうかもしれない

などと研究者が考えてしまうと難しい。

個々の論文の結論は統計的に有意でも、多数の論文を集計して有意性を評価
すると、一定の割合で「偽陽性」のものが存在することが結論つけられる。

しかも分野[1]によっては「偽陽性」の確率が50%を超える。

今日の話題は研究不正とまではいえないかもしれませんが、そのスペクトルに
連なる話題ではあります。

所さん!大変ですよ』で、よく脳科学の研究が出典付きで紹介されたりして
いますが、一々論文を確認して結論をχ二乗検定なんてする人はほとんど
いないでしょうから、結構危険に思えます。一種のロンダリングですね。

[1] 認知神経科学

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