二均差
2013-01-30 イスラームの場合で、二均差の発見者について、
| 1) アブー・アルワファー(Abū al-Wafā’, 940-997/998) … 二均差
| 1) は荒木俊馬『現代天文字事典』ではティコ・ブラーエの発見となっています。
と書いた[1]のですが、複数の方に確認してみると実際の事情はかなり複雑でした。
(A) J.L.E. Dreyer(1953)“A history of astronomy from Thales to Kepler”pp.253-254
(B) O. Neugebauer(1984, 原著1957) 『古代の精密科学』pp.191-192
の記述を総合すると、
・19世紀にSédillotがアブー・アルワファーの記述に二均差への言及があると指摘(Bが引用)
・アブー・アルワファーの記述はアルマゲストの記述になにも加えていないことを確認(A)
・プトレマイオスの理論の結果は、現代天文学の「出差」と一致せず「二均差」の半分を含む
(タンヌリの指摘をBで引用)
となります。
結論としては、発見者は教科書的には、
出差 ― プトレマイオス
二均差 ― ティコ・ブラーエ
で良いと言えますが、概念が一対一に対応するわけではないので、厳密に分析すると
教科書的な割り切りだけでは済まない事情のようです。もちろんアブー・アルワファーに
発見者というロールがなかったことは確かです。
『世界大百科事典』(1998)は他の文献よりも時代的に後ですから「右手のやっていることを
左手が知らない」ような風通しの悪さがあったのかもしれません。
[1] 前者の記事は平凡社『世界大百科事典』(1998)によっているのですが、私はたまたま
DVD版を持っていて、記事の執筆者は木下宙氏(国立天文台暦計算室長)となっています。
| 1) アブー・アルワファー(Abū al-Wafā’, 940-997/998) … 二均差
| 1) は荒木俊馬『現代天文字事典』ではティコ・ブラーエの発見となっています。
と書いた[1]のですが、複数の方に確認してみると実際の事情はかなり複雑でした。
(A) J.L.E. Dreyer(1953)“A history of astronomy from Thales to Kepler”pp.253-254
(B) O. Neugebauer(1984, 原著1957) 『古代の精密科学』pp.191-192
の記述を総合すると、
・19世紀にSédillotがアブー・アルワファーの記述に二均差への言及があると指摘(Bが引用)
・アブー・アルワファーの記述はアルマゲストの記述になにも加えていないことを確認(A)
・プトレマイオスの理論の結果は、現代天文学の「出差」と一致せず「二均差」の半分を含む
(タンヌリの指摘をBで引用)
となります。
結論としては、発見者は教科書的には、
出差 ― プトレマイオス
二均差 ― ティコ・ブラーエ
で良いと言えますが、概念が一対一に対応するわけではないので、厳密に分析すると
教科書的な割り切りだけでは済まない事情のようです。もちろんアブー・アルワファーに
発見者というロールがなかったことは確かです。
『世界大百科事典』(1998)は他の文献よりも時代的に後ですから「右手のやっていることを
左手が知らない」ような風通しの悪さがあったのかもしれません。
[1] 前者の記事は平凡社『世界大百科事典』(1998)によっているのですが、私はたまたま
DVD版を持っていて、記事の執筆者は木下宙氏(国立天文台暦計算室長)となっています。
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