太陰太陽暦

これは2015-01-03「TSH正月特番」にいただいたコメントへの
レスポンスです。

1.類型の問題

漢字熟語には統語的構造をなすもの・並列構造をなすもの・
その他の類型に分類されるものなどがあるようです。
(→Wikipedia「熟語 (漢字)」)

私の「太陰太陽暦」という用語に関する理解は、自身のWiki
に大昔に書いた通り、

 読んで字のごとく「月」は太陰(=月)の運動を基準にし、
 「年」は太陽の運動(=本当は地球の方が動いている)を
 基準にする暦法

というもので、冒頭の類型では「並列構造をなすもの」に
該当します。

日本語の枠内で議論すると、主観的になってしまうだけですが、
幸い「外部と相対化する」という手法をご教示いただいたので、
中国語でどうなるか、Google翻訳で確認してみましょう。

 [日本語]太陰太陽暦 → [中国語(繁体)]陰陽曆

ですね。ちょうど、つい先日、hosi.org web server の多国語化
対応で反映したばかりです。陰陽は陰陽五行と通じる用語で、

i. “陰な陽”(統語的構造)ではなく“陰と陽”(並列構造)である
ii. 必ず“陰陽”という順序で使われ“陽陰”という順序にならない

ことは明らかではないでしょうか。「太陰太陽暦」という用語を
あえて統語的構造で解釈する必然性はないように感じます。

2.太陰暦と太陽暦のどちらが主か

これは、1.とは分離して議論すべき別の問題です。

そして、やはり主観的な解釈に依存して結論は変わると思います。
太陽暦に慣れた人には太陰暦的に見え、太陰暦に慣れた人には
太陽暦的に見える。

私個人の主観では太陽暦が主ですね。これについては、過去の記事

 2012-09-30「聖武天皇の命日、1日間違えた
 2014-09-07「時の記念日はいつか? - 補足

などで既にとりあげた通りです。

文字コードの世界に“Round Trip Conversion”という概念があります。
あるコードを別の体系のコードに変換して、さらに逆変換して元に
戻るかを問題にします。

閏月は33~34か月ごとですから、日数にすると全体の約3%です。
よって、月の満ち欠けを一切考慮しない場合、

 日を干支で表現する形式の太陰太陽暦 → グレゴリオ暦 (ほぼ100%)
 日を干支で表現する形式の太陰太陽暦 ← グレゴリオ暦 (約 97%)

いかに太陽暦としての性格が強いかわかります。もちろん、日を朔から
数えた日数で表現すれば、太陰暦の重みは増しますが、私の主観では
ベースに上記のような数理がある以上やはり太陽暦に軍配を上げます。

この記事へのコメント

tany
2015年03月21日 14:52
2015/03/06記事「当然・明らか・普通」から来て茶々入れ。
陰陽は陰陽記号(☯,☯)から見ても明らかな通り、「並列」ではなくて「相克」関係ですよねぇ? ふふふ。
suchowan
2015年03月22日 08:24
マジレスするとWikipediaの「熟語 (漢字)」の用語定義では 並列⊃対義 です。
対義⊃相克 ですから 並列⊃相克。「相克」関係は「並列」関係の一種なんです。

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