バビロニア暦という用語

2014-07-21「ヘレニズムより前のバビロニア暦
>R.A.Parker & W.H.Dubberstein, “Babylonian Chronology 626B.C.-A.D.75”

2014-07-24「ISO19108と古代バビロニア暦
>ISO19108の日本語版であるJIS X7108の規格書を読むと附属書D表4~
>表6に規格の適用例として古代バビロニア暦が採りあげられています。
>(→D.3.3 古代バビロニア暦)

いずれも「バビロニア暦」としているので、when.exe Ruby版でも、同一性の
確保のため「バビロニア暦」という用語を使っています。

歴史的にはバビロニアというのはチグリス川とユーフラテス川に囲まれた
メソポタミア地方の南部を指す用語で、一方北部がアッシリア[1]です。

“Babylonian Chronology 626B.C.-A.D.75”はアケメネス朝ペルシャ
パルティアもカバーしていますから、メソポタミアの南部をはるかに越えた
地域で使われていました。またこの資料ではアッシリア帝国も考察の対象に
なっています。

違和感がありますが、業界の慣習ということで割り切るのでしょうね。

また、現時点では http://hosi.org の左フレームの tree view は、

┳西アジア
┃ ┗過去┳古代オリエント━新バビロニアとアケメネス朝
┃      ┗セレウコス紀元
┣アフリカ
   ┗エチオピア暦

のようにしていますが、これは色々な配慮を加えた結果です。

西アジア
 最近はヨーロッパを基準にした中東ということばよりも好まれる由。
 JIS X7108の古代バビロニア暦のTM_ReferenceSystem.domainOfValidity
 にある Southwest Asia(南西アジア)にしなかったのはアルメニア暦を
 含めたかったからです。

古代オリエント
 アレクサンダー大王以降をヘレニズムとして除外するという分類にうまく
 はまり、「バビロニア暦」の違和感も回避できました。

アフリカ
 Igbo calendar用にこのカテゴリを設けたのですが、Igbo calendarは年月日
 の変換ができるほどには内容の合意がなされていなさそうだとわかり、
 エチオピア暦をこちらに移動してきました。もしプトレマイオス朝の暦年代
 を追加するとすれば、ここに追加することになります。中東という区分を
 残していると、どちらに入れるか迷うところでした。

[1] サダム・フセイン政権の副首相だったアズィーズ氏はアッシリア人で
  ネストリウス派のキリスト教徒だそうです。
  より正確にはネストリウス派の流れをくむカルディア派[2025-08-29追記]
  ( → ローマ教皇のイラク訪問 米国との関係、より強化<佐藤優のウチナー評論>)

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