中根元圭の観測

昨日の件、具体的に計算すると下記の通り、

M を平均近点角、E を離心近点角、υ を真近点角、e を軌道の離心率、
r を天体間の距離、a を軌道の半長径とすると、ケプラーの法則より、

 E - e sin E = M
 r cos υ = a(cos E - e)
 r sin υ = a(1 - e2)1/2sin E

これらから r, a, E を消去して、υ - M を M でフーリエ展開すると、

 υ - M = 2e sin M + 2e2 sin 2M + …

地球軌道の離心率 e = 0.01671 を使って、この極値を求めると、

 M = 88.17度 → υ - M = 1.916 度

一方、貞享暦では、

 M = 88.86日 → υ - M = 2.027 度

また、授時暦では、

 M = 89.27日 → υ - M = 2.367 度

授時暦→貞享暦で大幅に改善したことがわかります。日本では、貞享暦
に至ってようやく均時差の計算ができるようになったといえます。

中根元圭が徳川吉宗の命で貞享暦の誤差を確認しようと、伊豆[1]で太陽
位置の観測をし「貞享暦に誤差はない」と復命したエピソードがあり
ますが、確かにこれだけ差があれば、日の出・南中・日の入りの時刻
や地平座標の観測で、授時暦と貞享暦の差が検出できたでしょう。

[1] 観測地点では東も西も水平線だったのでしょうか。

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[2015-06-07 追記]
 本記事には訂正があります。詳しくは、
  2015-06-08 「貞享暦の日行盈縮と定朔」フォローアップ
 をご覧ください。

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