イスラームの場合

イスラームの場合については、実はまだちゃんと確認していないのですが、
暦定数の改良ではなく概念の発見となると意外に限られている印象です。

・当初はインドからの天文学
・その後『アルマゲスト』に代表されるギリシャの天文学

をベースにしていて、今回の調査であらかじめ着目していた概念の発見となると、

1) アブー・アルワファー(Abū al-Wafā’, 940-997/998) … 二均差
2) アッ=ザルカーリー(Al-Zarqali, 1028-1087)   … 地球の近日点の移動

のみとなってしまいました。

1) は荒木俊馬『現代天文字事典』ではティコ・ブラーエの発見となっています。
おそらくティコ・ブラーエとアブー・アルワファーは独立に二均差を発見していて
『現代天文学事典』のころはまだ後者が知られていなかったのだと思います。
二均差が日本の暦に取り入れられたのは寛政暦からで、

 ティコ・ブラーエ → ケプラー(1627) → 暦象考成後編(1742) →
 寛政暦(1797)

という経路となり、アブー・アルワファーにはつながりません。

2) のアッ=ザルカーリーはイベリア半島のトレドの学者で、トレド表という
天文表を作っています。地球の近日点の移動が日本の暦に取り入れられたのは
貞享暦からで、

 アッ=ザルカーリー → トレド表(1080頃) → アルフォンソ表(1252) →
 ティコ・ブラーエ(1588) → 崇禎暦書(1642) → 天経或問(1675) →
 貞享暦(1684)

という経路となり、アッ=ザルカーリーにつながります。

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