日月食周期

『歴史読本』の論考のために調査をした際、マヤでは朔望月と1/2食年の比の最良近似分数
展開系列にない独自の食周期を用いていたことに気づきました。そのときの整理です。

日食や月食が起るのは、太陽・地球・月が一直線に並んだときです。
ところが、月の公転軌道(白道)が地球の公転軌道(黄道)に対して約5.16度傾いているため、
日食や月食は、毎回の朔や望では起らず、太陽が白道と黄道の交点の方向に見えるときしか
起こりません。太陽が白道の昇交点を通過して再び昇交点に戻る周期を食年といいます。

食が起るには、太陽が白道の昇交点・降交点のどちらに見えてもよいので、
食の起る周期を計算する場合、朔望月と1/2食年の比が問題になります。

『天文年鑑2012年版』P.190 によれば、2012.5年では、

 朔望月  29日 12時間 44分 02.879秒 (= 29.5305889 日)
 食年  346日 14時間 52分 54.965秒 (= 173.3100403 日 × 2)
 近点月  27日 13時間 18分 33.100秒 (= 27.5545498 日)
 近点年 365日 6時間 13分 52.570秒 (= 365.2596362 日)

朔望月と1/2食年の比を最良近似分数展開すると
C:\>whenhv 29.5305889 173.3100403 (または ruby when.rb 29.5305889 173.3100403)
  0 /   1 (-2.953E+01)
  1 /   5 (+2.566E+01)
  1 /   6 (-3.873E+00)
  7 /  41 (+2.416E+00)
  8 /  47 (-1.457E+00)
  15 /  88 (+9.588E-01)
  23 /  135 (-4.986E-01)
  38 /  223 (+4.602E-01)
  61 /  358 (-3.837E-02)
 709 / 4161 (+3.816E-02)
 770 / 4519 (-2.081E-04)

これを歴史上使われた比に適用すると
マヤ-イネックス  47朔望月= 1387.9377日= 3.800回帰年  4.0食年= 1386.4803日 (誤差+1.4574日)
三統暦[1]     135朔望月= 3986.6295日=10.915回帰年 11.5食年= 3986.1309日 (誤差+0.4986日)
サロス      223朔望月= 6585.3213日=18.030回帰年 19.0食年= 6585.7815日 (誤差-0.4602日)
イネックス    358朔望月=10571.9508日=28.945回帰年 30.5食年=10571.9125日 (誤差+0.0384日)
マヤ[2]      405朔望月=11959.8885日=32.745回帰年 34.5食年=11958.3928日 (誤差+1.4957日)

このうち、サロスは、223朔望月=18.092近点年=238.992近点月という関係があるため、
毎回の太陽・月の位置関係がほぼ同じになるという特長があって、よく利用されます。

[1] 三統暦の食周期(135朔望月)は3986+1/3日
[2] ドレスデン絵文書の食周期は11958日~11960日。
  同じテキストの読み方で3通りの解釈があるようです。
  William E. Beck ‘MAYA ECLIPSES: MODERN ASTRONOMICAL DATA, THE TRIPLE TRITOS
  AND THE DOUBLE-ZTOLKIN’P.6
  http://etd.fcla.edu/CF/CFE0001910/Beck_William_E_200712_Mast.pdf.pdf

[関連記事] 2026-04-24 日月食周期(新展開) [2026-04-26 追記]

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック