『日本の時刻制度』増補版

橋本万平氏『日本の時刻制度』は、斉藤国治氏『日本・中国・朝鮮 古代の時刻制度』から孫参照して
いただけなのですが、後者は“アブナイ”と某氏に教えていただいたので、直に前者を確認して見ました。

幸いなことに「暦の会第375回例会関連資料 - 十二辰刻 -」「御堂関白日記の時刻制」には修正は
ありませんでした。

『日本の時刻制度』の初版は1966年で『日本暦日原典』の初版が1975年ですから、宝暦改暦に伴い
十二辰刻での時刻の表記が“切り捨て”から“四捨五入”に変わったことに言及がないのは、いた
しかたないのかもしれません。また、具注暦の時刻が“四捨六入”であることを指摘する人が現れ
なかったのも、増補版の後書き(P.273)で、
 この十二年間類書が一冊も出ていないばかりか、時刻関係の論文も書かれていない有様である。
という状況では、さもありなんです。

しかも、頒暦に記載の定時法の十二辰刻に関する詳細は、極端に言えば江戸時代の人々にとっては
“暦の専門家のサークル”の中でしか意味のないことのようです。江戸時代の一般の人々の用いた
時刻体系は、これとは乖離して混乱していたからです。

P.149 からの「二十三 上刻・中刻・下刻」でその混乱ぶりを整理しておられます。
次に示す P.153 の図二十四が典型的です。


「○○を改めて□□とする」という布告を出すのに、「○○」に社会の合意がないというのでは…
すべての人々に合意された理解が存在していない状況では、一般の人々に周知することを目的とした
布告である「明治改暦の布告」の時法の部分が混乱しているのも致し方のないことに思われます。

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