暦時間の定義の推移

暦時間(Calendar Time)の定義の推移についてのメモ書きです。

1. 都市の地方時
 かつては観測する都市ごとに地方時が存在した。
地方真太陽時 -(均時差の補正)→ 地方平均太陽時 -(天文台経度の補正)→ グリニジ標準時

2. グリニジ標準時(Greenwich Mean Time)
 本初子午線での地方平均太陽時。1884年の国際子午線会議でイギリスのグリニジを通る子午線が
 経度0度の本初子午線とされたことにより、定義が明確になった。

3. 世界時
UT0 -(地球の極運動の補正)→ UT1 -(地球の自転速度の周期的変動の補正)→ UT2
3.1. UT0
 天文台で天体観測で得られる生の地方平均太陽時に、天文台の公称経度による補正を行って本初子午線
 での地方平均太陽時を算出したもの。天文台の実経緯度は地球の極運動[1]によって時々刻々かつ天文台の
 場所ごとに変化するので、UT0 は観測する天文台の場所によって異なる。
3.2. UT1
 UT0 に極運動による天文台の経緯度変化の影響を補正して得られる、天文台の場所に依らない世界共通の
 暦時間。地球回転の表現としてはもっとも合理的な暦時間なので、現時点でも重要であり、UTC の定義で
 参照されている。
3.3. UT2
 UT1 に地球の自転速度の周期的変動(季節変化)を補正した暦時間。地球回転の観測をもとに可能な限り
 物理的に一様な時系を提供しようという意図で工夫されたもの。原子時計に基づく定義の導入により
 歴史的役割を終えた。
3.4. UTC (Coordinated Universal Time) <1972- >
 時計の歩度は原子時に従い、閏秒による補正で地球回転とのずれが UT1 に対し0.9秒以下となるように
 した暦時間。閏秒による補正は1秒単位なので、UTC と TT(Terrestrial Time - 次回に詳しく説明予定)
 との差は常に整数秒である。
 余談ですが、アメリカの電話で時報を聞くと男性の声で Coordinated Universal Time 云々と言っている
 ようです。

[1] Z項の話が『歴史秘話ヒストリア』(2012-09-12)でとりあげられました。
  論文ではZ項はξだったんですね。
  (2012-09-15 追記)

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